後期課程1年
私は,2011年3月に大阪府立大学 理学部 物理科学科(現: 生命環境科学域 自然科学類物理科学課程)を卒業した後,博士前期課程から現在の講座の一員となりました。私の場合,大学院受験はこのページから始まりました。大学3年が終わる頃に自分の進路に悩み始め,「自分は10年後,20年後どんな人になっていたいのか」なんてことを考えながら,様々な進路・分野に関する情報を集めていました。そんな時,皆さんと同じようにこのページに辿り着き,いろんな先輩の声を聞いたと同時に”大学院説明会”の存在を知りました。
そこで,せっかくそのような機会があるのなら,進学への興味や不安など『考えていること・感じていること』,『今の自分』を直接,気になっている先生や研究室の人に伝えてみようと思い,大学院説明会に参加することにしました。結果的に,大学院説明会で多くの先生や研究室の方と話せたことで受験する決心がつき,受験勉強の励みにもなりました。
永冶 方敬 さん
後期課程3年
研究したいテーマがある人はぜひ,まだイメージが固まってない人もぜひ!充実した研究生活を送るチャンスです! 私は大学院修士過程から名古屋大学に入学しました。大学学部はオーストラリアのウーロンゴン大学で地球科学を専攻していました。学部卒業の年,環境分野に 興味を持ちインターネットで調べているうちに,名古屋大学環境学研究科を見つけました。そして現在の担当教員と連絡を取り,話をする機会をもらいました。こ の時はまだ具体的に何を研究するかは全く考えていませんでした。それでも教員や研究室の人たちと話をしてみて,気が合いそうだったのと持続性学という研究室の研究テーマがおもしろかったので受験することにしました。大学院ではピコ水力発電という 小さな水力発電を研究することにしました。水車,発電システム,電気の使い方,維持管理の方法など研究内容は幅広いですが,1年くらい勉強にじっくり時間を使ったらだんだん詳しくなってきました。
そして修士過程の2年目,やっと研究心に火がついてきて,研究がどんどんおもしろくなりました。修士過程終了後,一度企業に入社しピコ水力発電の研究開発を4年間行い,さらに研究を深める目的で博士過程から名古屋大学に復学しました。
岡村 鉄兵 さん
前期課程2年
私は,植物プランクトンの仲間である珪藻の化石を用いて,過去2000万年間の南極海における海洋環境変動の変遷を明らかにしようと研究を行っています。
私は学部から名古屋大学に在籍しており,卒業研究から現在の研究室で研究を続けてきました。日々の実験や観察は地道で決して楽なものではありません。しかし,こうして得られたデータが一つの美しいストーリーを織りなし今まで知られていなかった事実が明らかになっていく事の面白さに魅せられて,現在は地質・地球生物学講座の博士前期課程に進学し,日々研究に取り組んでいます。
本専攻には様々な分野の人たちが集まっており,また,私たち学生自身が興味を持っているテーマを自分のペースで自由に研究させてくれる環境・設備が整っています。教員の方々は学生が質問をすれば真剣に応じてくれますし,学生同士で各々の研究や新しい論文の内容に関して議論をしたりする事もあります。
加藤 悠爾 さん
前期課程2年
私は,信州大学理学部から現在所属する名古屋大学大学院の環境学研究科に進学しました。もともと,基礎科学的な研究がしたいという思いがあり,大学院説明会への参加で知った地球惑星物理学講座を受験しました。つまり,大学院進学を機に研究分野を環境化学から惑星科学へと変更したことになります。もちろん,進学して最初の一年は経験のない物理実験やプログラミングに加え,専門分野の勉強もあり苦労しました。しかし,研究室の先輩・同級生,指導教員の助言を参考に研究し続け,M2になってから学会などで結果を発表できるようになりました。結果を出せるようになると学会を通して,学外の方との交流も増え,それがさらに良い刺激になりました。今は,充実した研究生活を送っています。特に他大学からの進学を考えている人は不安なことがたくさんあると思います。
内部生に比べて得られる情報も少ないですし,慣れない土地にいくわけですから。しかし,新しい環境で得られる刺激や知識,経験は大変良いものです。もし,少しでも興味があるなら,大学院説明会に参加して現役の学生の話を聞いたり,気になる研究室の先生と連絡を取るなどして積極的に行動を起こしてください。
山田 智哉 さん
後期課程2年
私は,日本大学で学部4年+修士過程2年を過ごしました。そんな中,修士課程の2年の春頃から,研究がすごく面白くなり,真剣に研究者としての道を目指したいと思うようになりました。そのためには,よりよい環境で学ぶことを進められて,外部の大学への進学を目指す事になりました。受け入れ先の先生を探すのにはやや苦労し,最終的に決めたのは冬になってのことでした。その後,先生にアプローチをし,直接合ってお話をするなどし,春の面接試験を経て無事進学する事ができました。実際に入学してみて,これまでとは全く違う,研究するための環境の充実ぶりに非常に驚きました。
多様で充実した先生方(研究者)の顔ぶれ,学生達のレベルとモチベーションの高さ,情報の収集力,などありとあらゆる面で,研究者を目指すためにはこの上ない環境だと感じました。もし,研究に興味があり,より先を目指したいと感じたら,ぜひ修士課程(または博士課程)からは,より優れた環境で学ぶ事を強くお勧めします。
篠島 僚平 さん
前期課程2年
私は学部時代,関西大学で化学工学を学んでいました。そして現在は地球化学講座で干潟の環境調査に関する研究をしています。私が名古屋大学に進学しようと思ったきっかけは,6月にあった名古屋大学の大学院入試説明会でした。説明会は地元だし少し覗いていこうと軽い気持ちで参加しました。そこで「二枚貝中に含まれる金属濃度」の研究をしている先輩がいました。私はそのポスターに興味を持ち,先輩の説明を聞きました。先輩は丁寧に私の質問に答えてくれ,研究室も親切に案内してくれました。研究室の雰囲気が良く,この中で研究ができたら自分自身成長すると思い大学院の受験を決意しました。
大学院入学当初は何も分からない自分に嫌になり,ここに来たことを後悔しましたが,研究室の同僚の叱咤激励で自分を奮い立たせ,必死に研究をしました。他大学への進学は不安なことがたくさんあると思います。慣れない環境で,知人がいない寂しいことが多いと思います。しかし,新しい環境での刺激は自分自身の成長にすごく良いと思います。
石田 大也 さん
前期課程2年
私は,広島大学から名古屋大学大学院環境学研究科の地質・地球生物学講座に入学しました。私が名古屋大学に進学しようと思ったきっかけは,大学院入試説明会でした。私は大学院では地質調査に取り組みたいと考えており,説明会で現在所属している研究室が地質調査を重視して取り組んでいることを知りました。そこで,学部時代に取り組んでいた研究をベースに更に詳しい研究ができると考え現在の研究室に進学しました。試験は第Ⅰ期入試を受験しました。私は試験対策としてwebでダウンロードをすることができる過去問を解きました。また,説明会で研究室の先輩からアドバイスして頂いた参考書を読み進めました。卒業研究と並行して試験勉強に取り組むことは大変でしたが,ノルマを決めて勉強をしていたので,余裕を持って両立に取り組むことができました。
大学院では地質調査と砕屑性重鉱物の分析を組み合わせて後背地解析を行っています。地質調査と分析を両立することは大変ですが,研究室の先生や先輩,同級生,後輩などの助けもあって研究を進めることができています。
大川 真弘 さん
2005 年の9 月から地震学の研究のためにアメリカに留学をした。アメリカに行った当初は,住むところもなかなか決まらずかなり焦ってい た。不安や寂しさもあったかもしれない。それが,あることがきっかけでまったくそういう気持ちがなくなった。それは9 月末にテキサスに上陸したハリケーン「リタ」。上陸の4 日前までは,大学の連中は「あれはたぶん進行方向を変えるよ」などと笑顔で話していたが,次の日,台風情報でリタがテキサスに上陸する可能性が高いと予報され,みんな大慌てで他の州に逃げる準備をしだした。そして,上陸前日には大学から大半の人が消えていた。さて,僕はどうするか。こっちに来て1ヶ月で, 逃げるところも情報もない。不安の絶頂期だったと思う。そのとき,大学からのメールで「大学にシェルターがあって,大学関係者はそこに入ることができます。また,食事も準備しています」という内容のものを見つけた。
もちろん行く当てがなかったので,リタが上陸した夜は大学に避難してきた人たちとそこで一緒に過ごした。その経験以降,「なんとかなるものだな」という自信みたいなものが出てきて,生活に関してはあまり不安を感じなくなった。そういった意味では,9 月にヒューストンに来てよかったのかもしれない。ただ,もう二度とハリケーンは経験したくない。
利根川 貴志 さん
「何を話しているのだろう」というのが私の名古屋大学に対する初印象でした。私は,修士課程まで和歌山大学教育学部に所属しており,名古屋大学を初めて訪れたのは,修士2 年の初めでした。それまで教育学部に所属していたこともあり,地球科学に関する専門授業をほとんど受けていなかった私にとって,名古屋大学の学生が話す研究内容は理解不能でした。このことに強い焦りを覚えた私は,とにかく前に進もうと思い,すぐに名古屋大学の受託研究生を希望し,地球惑星科学教室に籍を置かせていただきました。それからの私は,見るもの接するものすべてが真新しく,分からないことは調べ,それでも分からないことは羞恥心を捨て,周りに質問責めにしました。その頃の私は,「なんでそうなるの」というのが口癖でした。そして,ふと気づくと,もう博士後期課程が終わろうとしています。今でも相変わらずみんなの研究レベルの高さに圧倒される日々を送っていますが,周りの先生方や学友に支えられ研究を続けています。
「初心忘るべからず」という言葉がありますが,私の初心とは,名古屋大学に始めてきた時に受けたショックと,そこから生まれた「とにかく前に進もう」という考えです。私は今年の4 月から研究職に就きます。そこでは,今まで以上にショッキングな経験をすると思いますが,名古屋大学の皆様から教えていただいた初心を忘れることなく常に 胸に抱き,日々精進していきたいと思います(2006年,後期課程満了時の文章です)。
常磐 哲也 さん
平成9年に地球科学科を修了して既に10 年を経過した。在学当時は研究活動と実社会との接点が見いだせずに悩むこともあったが,いざ就職してみると,予想に反して地球科学科で学んだことは十年を通じて強力な武器となり続けた。地質コンサルタント会社勤務というわけではなく,窯業系建材メーカーを経て,現在は木造建築の設計・管理に従事しているにもかかわらず,である。メーカーに入社してすぐ,修士論文で使った多変量解析を,陶器原料受け入れ時の合否判定に利用することができた。データは蓄積されているものの,統計的解析手法が導入されていない部署であったので,上司のウケはよかった。建築業界に転向してからも,地質に関する基礎知識は,建物地盤の解析に大いに役に立っている。講座を挙げて取り組む実習を通して,愛知県の地質の分布について講座全員が詳しくなったおかげだ。地味だなァと思っていた3年生の頃の実習が,ジワリと効いてくることもある。実習では崖をハンマーで叩き岩石を採取したり,これを薄片とし顕微鏡で観察したりするなどして,体験的に岩石・鉱物に触れることができた。
これが今,建材として使う御影石,大理石,大谷石,珪藻土などの素性を顧客に説明する時に 説得力の違いになって現れている。(これは独断かも。)ともかく,石の話をした後は,打合せがスムーズに運ぶことが多いのは確かである。「地球科学は,役に立つ。」今なら,はっきりこう言える。
戸上 薫 さん
新聞社に就職して既に10 年を経過した。2つの支局を経て,現在は東京で科学記事の執筆をしている。大学では地球惑星科学を専攻。地球化学講座で,自然界,特に河川での希土類元素の存在度パターンの変化などを研究した。研究内容は,今の仕事に一部役立ってはいるが,学会やコロキウムを通じて,プレゼンテーションの重要性を学んだことの方が,今の仕事に大いに役立っている。発表も記事も,分かりやすく人に伝える点では同じだ。就職直後は社会部に所属していたため,取材でいろんな人と出会うが,理学部出身だと言うと,意外な顔をされることがよくある。新聞記者は文系出身者がなるものだと思っている人が多いようで, 「どうして,また記者に」との質問になる。入社試験でも同じ質問を受けた。「科学と社会をつなぐ架け橋になりたい」。8年前,面接で緊張しながら,こう答えたことを覚えている。今もその気持ちは 変わっていない。
基礎研究や科学技術の現場と一般市民の乖離,子どもたちの理科離れが唱えられて久しい。記者としてキャリアを重ねていく中で専門分野を持ち,新聞というメディアを通して科学や技術への関心をかき立てるような仕事を,今後していければと考えている。
榊原 智康 さん