トップページ > 新着情報 > 新着情報詳細

新着情報

「地球環境科学と私」第三十八回

2023.6.23

「地球環境科学と私」第三十八回は地質・地球生物学講座 丹羽 美春さんによる 研究と仕事 です.


研究と仕事 地質・地球生物学講座 丹羽 美春

地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座に所属している博士後期課程の学生です。多くの方は、学部、博士前期課程そして博士後期課程と連続的にステップアップされているでしょう。しかし、私の場合は、博士前期課程修了後、長いブランクを経て、現在は仕事と学業の掛け持ち生活をしています。ずいぶん遠回りしている私にとっての「研究と仕事」についてお話ししようと思います。


10年以上昔、私は今と同じ地質・地球生物学講座の博士前期課程を修了して研究とは無縁の職種に就きました。そこでは、野生の動植物を追いかけたり、福祉分野で満身創痍になったりと、大学での研究と完全に離れた生活をしばらく続けていました。ところが、数年前の人事異動で、博物館勤務となったことで環境がガラリと変わりました。


新しい職場は自然科学分野の学芸員が勤務しており、日常茶飯事的に懐かしい分野の専門用語が飛び交うとても賑やかな職場でした。私の仕事は施設管理など事務系の仕事でしたが、企画展の準備に関わったり、学芸員の研究に対する熱い思いを感じたりしているうちに私も再び研究したいと思うようになりました。


そんな折に、環境学研究科で社会人が働きながら研究をすることができ、大学と社会が協力して超学際的に問題を解決することを目的とした「知の共創プログラム」コースが新設されたことを知りました。なんとか入学許可をいただき、現在に至っています。


私の研究テーマは愛知県東三河地域の中央構造線を自然科学と人文科学の両分野から捉えることで地域の価値を発見し、新しい博物館のあり方を考えることです。このテーマは縦割りの研究では完結せず、分野横断的な研究が必要です。これに社会人経験を加え相乗効果を狙っています。


今は自然科学の分野を中心として、中央構造線の岩石を薄く削って顕微鏡で観察し、その構成鉱物、組織からどのような断層活動を経て現在へと至ったのかを読み取ろうとしています。最終的には、日本で一番大きな断層である中央構造線についての研究成果を博物館で展示し、子どもから大人までの来館者に、自然からの恩恵及び弊害と暮らしとの関係なども合わせて知ってもらうきっかけになればと思っています。


ところで、博物館にはたくさんの収蔵資料があります。溢れるほどです。博物館の使命が資料の収集保存である限り、今後もどんどん増えていくはずです。よく「こんなに集めてどうするのですか?」と聞かれますが、「資料がなければ研究も新しい発見もできないため、10年後、100年後に博物館を訪れた人へのプレゼント。」だと思っています。そして私が今、行なっている研究活動は自然を理解したいという大きな目的達成のための小さな一歩となり、未来の研究者たちへの橋渡しになると信じています。


私にとって環境学研究科は「思い出の場所」であり、「現在進行形の大学」でもあり、「挑戦するチャンス」でもあります。働きながら再び大学で研究できる環境を与えて頂いたことを感謝しつつ研究に邁進していきたいと思っています。


就職か進学か悩まれている方、漠然と将来に不安のある方、研究が楽しくて仕方のない方、十人十色だと思いますが、「研究と仕事」を考えるうえでヒントになっていれば幸いです。


地球環境科学専攻




  • 地球環境システム講座
  • 地質・地球生物学講座
  • 地球化学講座
  • 地球惑星物理学講座
  • 地球惑星ダイナミクス講座
  • 地球史学講座
  • 生態学講座
  • 大気水圏講座

学生の皆さんへ

学科のご案内

リンク

名古屋大学 NAGOYA UNIVERSITY

名古屋大学大学院 環境学研究科

名古屋大学理学部

大気水圏科学系

名球会

名大地球ツイッター

名大地球フェイスブック